ImmerNote

開発ノート

無料のままにすると決めた

出来事の時期:2026年5月29日〜6月21日

最終更新:2026年9月5日

ImmerNoteは、YouTubeで英語を学ぶためのChrome拡張です。動画を見ていて分からない英文が出てきたら、ボタンひとつでその文を保存し、あとで見返せます。

作りはじめる前に最初に決まったのは、機能ではありませんでした。線引きです。

2026年5月29日、この拡張機能を作ると決めた日に、6つの決定が並んでいます。その一番上にあるのが次の一行でした。

無料で提供したものは、永遠に無料のままにする。

この一行を守ろうとしたところ、書くコードの中身まで変わりました。

何が起きたか

最初の日に決まったことのうち、いちばん大きいのは保存できる件数を無制限にするという判断です。

英文を保存して見返す拡張機能なので、保存の件数は使い心地に直結します。ここに上限を置けば、続ける人ほど早く上限に当たる。続けている人から先に止まる仕組みになります。件数では区切らないことにしました。

同じ日に、作らないものも決めています。

3つとも「後回し」ではなく、作らないと決めたものです。無料で出す範囲を先に決めたので、その外側にあるものを並べる作業でもありました。

何を決めたか

① 出したものを、あとから有料にしない

無料で出した機能を、後になって有料に移すことはしない。これが原則です。

理由は、使う人の側から見たときの意味が違うからです。「いまは無料」と「これからも無料」は、これから長く使うものを選ぶときに、まったく別の情報になります。前者だと、いつ変わるか分からないものに自分の記録を預けることになる。

② 作らないもののコードは、1行も置かない

原則を決めたあと、実装の方針まで踏み込みました。作らないと決めた機能の、空の受け皿も、切り替えのしくみも置かない。

こう決めた理由は、置いておくと「あとで足せる」と思ってしまうからです。使われていないコードは、動いているコードのふりをします。あとから読んだ人が、そこに何かがあると誤解する。

この判断は、あとになって効きました。 別のところで「機能は書いたのに、そこへ値を流す部分がどこにも無かった」という状態を作ってしまったことがあり、そのとき、置いていないほうが安全だと分かっています。

③ 画面に予告を出さない

「近く新しい機能が来ます」という表示を、画面に入れないことにしました。

期待を先に作ると、いま届けているものの評価がそこに引きずられます。まず無料の範囲で使い切れる状態にするほうを取りました。

④ 値段の話は、公開の直前まで決めない

値付け・課金の仕組み・時期は、未確定のまま進めると決めています。先に決めると、それに合わせて機能の線を引き直したくなるからです。

順序を逆にしました。無料で成り立つ形を作ってから、その外側を考える。

どうなったか

5月29日に決めた線は、約3週間後の6月20日に実装が終わった時点でも動いていませんでした。

その日の記録には、作った機能の一覧と、あわせて10件の決定が並んでいます。そのうちの1つが「AI用の文面を自分で作る機能は、今回は入れない」という再確認でした。完成の日にも、同じ線が引かれたままだったことになります。

6月21日、ストアに出すときの説明文が決まりました。末尾はこうです。

保存無制限・基本機能すべて無料。

「無料の拡張機能です」とは書いていません。 保存が無制限であること、基本の機能が無料であること——約束できる範囲だけを書いています。

言い切らなかったのは、将来と食い違わせないためです。原則は「出したものを有料にしない」であって、「これから先も何ひとつ有料にならない」ではありません。守れる約束の形に、文言のほうを合わせました。

この一文は、いま配信している説明文にもそのまま残っています。

分かったこと・まだ分かっていないこと

原則を守ることには、代償があります。

無料の側に置いたものは、あとから収入に変えられません。保存の件数は、いちばん分かりやすく値段を付けられる場所でしたが、そこを最初に手放しました。

この判断が正しかったかは、まだ確かめられていません。 比べる相手がいないからです。件数で区切った場合にどうなったかは、試していないので分かりません。

言えることは2つです。

分かっていないことがもう1つあります。保存の件数を無制限にしたことが、実際に使い続ける理由になっているのかは測っていません。 訴求の主軸として置きましたが、それが効いているかを確かめる手立てを、まだ持っていません。

アプリを選ぶときに無料の範囲から試す考え方は英語学習アプリ・英単語アプリおすすめに書いています。

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