英語のディクテーションは効果ある?やり方と続けるコツ
三橋竜彰・
ディクテーションは、聞いた英語を文字に書き起こす練習です。地味で時間もかかるため「本当に効果があるのか」と迷いやすい方法でもあります。この記事では、ディクテーションで得られるものと限界を整理したうえで、YouTube動画を使った現実的なやり方をまとめます。
運営者は、YouTube動画で表示された英文を保存するChrome拡張機能「ImmerNote」を開発しています。ここでは語学指導の専門家としてではなく、動画を教材にして日々英語に触れているツール開発者の視点から、続けられる形に落とし込んだ手順を紹介します。
ディクテーションで得られるもの
ディクテーションの価値は、自分が何を聞き取れていないかが確定する点にあります。
普通に聞いているだけだと、「だいたいわかった」で通り過ぎてしまいます。ところが実際に書き出そうとすると、次のようなことが起こります。
- 知っているはずの単語が、音として認識できていなかった
- 単語と単語がつながって、別の音に聞こえていた
- 冠詞や前置詞など、短い語がまるごと抜け落ちていた
そのため、書き起こしそのものより書けなかった箇所をどう扱うかのほうが、練習としては重要になります。
効果の限界も正直に
一方で、期待しすぎないほうがよい面もあります。
ディクテーションは負荷が高く時間もかかるため、大量のインプットには向きません。1本の動画を全部書き起こそうとすると、1回で30分以上かかることも珍しくありません。それだけの時間があれば、他の練習で触れられる英語の量は何倍にもなります。
また、書き取れるようになったからといって、その表現をすぐ話せるようになるわけでもありません。ディクテーションが担当するのは、あくまで音を正確に捉える部分です。
ですから、毎日の学習の中心に据えるのではなく、短く・部分的に使うのが現実的です。
YouTube動画でのディクテーションのやり方
紙とペンでも、テキストエディタでもかまいません。1回5分で終わる範囲に区切るのがコツです。
1. 20〜30秒の範囲を決める
動画全体ではなく、聞き取れなかった箇所を含む短い範囲だけを対象にします。J キーで10秒戻し、K キーで一時停止しながら範囲を決めます。
2. 字幕を消して書き取る
英語字幕をオフにして再生し、聞こえたとおりに書き出します。わからない箇所は空欄のままにしてください。ここで無理に埋めると、診断としての精度が落ちます。
3. 2〜3回まで繰り返す
同じ範囲を2〜3回聞いて、埋められる箇所を埋めます。それ以上繰り返しても、たいてい新しくは聞こえません。
4. 英語字幕で答え合わせをする
字幕をオンにして、書いたものと突き合わせます。字幕の出し方はYouTubeの英語字幕の使い方にまとめています。
ポイント
書けなかった箇所をどう処理するか
ここが練習の本体です。書けなかった箇所は、原因によって対処が変わります。
- 知らない単語だった:語彙の問題です。表現ごと残して覚え直します。
- 知っている単語なのに聞こえなかった:音の問題です。音声と文字を結びつけ直す必要があります。
- 速すぎて追えなかった:処理速度の問題です。再生速度を落として同じ範囲をもう一度試します。
この切り分けをせずに「聞き取れなかった」でまとめてしまうと、次も同じところでつまずきます。原因別の詳しい対処は英語が聞き取れない原因と、AIで解析して理解する方法で扱っています。
負担を減らして続ける工夫
ディクテーションが続かない最大の理由は、単純に面倒だからです。負担を減らす工夫をいくつか挙げます。
- 全文をやらない:聞き取れなかった箇所だけに絞ります。
- 毎日やらない:週2〜3回で十分です。他の日は通常のリスニング練習にあてます。
- 書き起こしを清書しない:診断が目的なので、読めれば十分です。
- 答え合わせ用の英文を先に確保しておく:字幕から該当箇所の英文を保存しておくと、後から照合するのが楽になります。
ImmerNoteでは、動画を止めずに画面表示中の英文をワンクリック(またはAlt+S)で保存できます。ディクテーションの対象にした範囲の英文をあらかじめ保存しておけば、書き取ったものとの突き合わせがすぐできます。保存した英文は理解度を4段階で色分けできるため、「書き取れなかった箇所」だけを後日まとめて見直すこともできます。
翻訳や、なぜそう聞こえるのかの解説がほしいときは、保存した英文をプロンプトに整形してコピーし、ChatGPTやGemini、Claudeなどに貼り付けられます(解析を行うのは、あなたが使うAIです)。
なお、手動字幕の動画は字幕を表示していなくても保存でき、自動生成字幕の動画は字幕を画面に表示した状態で保存してください。英語字幕(CC)が全く無い動画は現状は対象外です。
ディクテーションに向いている音声
すべての動画が向いているわけではありません。次の条件に近いほど、練習として成立します。
- 英語字幕(CC)がある:答え合わせができないと診断になりません。
- 1人で話している:複数人の会話は重なりが多く、初中級には負荷が高すぎます。
- 極端に早口でない:書き取る時間が確保できません。
- 音質がよい:雑音が多いと、聞き取れない原因が英語力なのか音質なのか判別できません。
日々のリスニング練習の中にどう組み込むかはYouTubeでリスニングを鍛える練習メニューを、耳を段階的に作っていく全体の組み立ては英語の耳を作る訓練メニューの組み立て方を参照してください。
よくある質問
英語のディクテーションは効果がありますか?
自分が何を聞き取れていないかを可視化する診断としては有効です。知っている単語が音として認識できていない、単語同士がつながって別の音に聞こえている、短い語が抜け落ちているといったズレが確定します。ただし負荷が高く時間もかかるため、大量のインプットには向きません。
ディクテーションは毎日やるべきですか?
週2〜3回で十分です。1本の動画を全部書き起こすと30分以上かかることもあり、毎日続けるには負担が大きすぎます。他の日は通常のリスニング練習にあて、ディクテーションは聞き取れなかった箇所に絞って短く使うほうが現実的です。
ディクテーションはどれくらいの長さでやればいいですか?
1回20〜30秒の範囲で、5分以内に収めるのが目安です。動画全体ではなく、聞き取れなかった箇所を含む短い範囲だけを対象にします。範囲を広げると負担が増えて続かなくなります。
書き取れなかった箇所はどうすればいいですか?
原因を3つに切り分けます。知らない単語だった場合は語彙の問題なので表現ごと覚え直します。知っている単語なのに聞こえなかった場合は音と文字を結びつけ直します。速すぎて追えなかった場合は再生速度を落として同じ範囲を試します。
ディクテーションに向いている動画はどんなものですか?
英語字幕(CC)があり、1人で話していて、極端に早口ではなく、音質がよい動画が向いています。複数人の会話は音が重なるため初中級には負荷が高く、雑音が多い動画は聞き取れない原因が英語力か音質か判別できなくなります。
まとめ
ディクテーションは「書く練習」ではなく、聞き取れていない箇所を確定させる診断です。1回20〜30秒・5分以内に区切り、書けなかった箇所を「知らない単語・音の問題・速さの問題」に切り分けるところまでやって、はじめて練習になります。負荷が高い方法なので、週2〜3回・部分的に使うのが続けるコツです。答え合わせ用の英文を動画を止めずに保存しておきたい方は、ImmerNote をChromeに追加して無料で試せます。