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ブログ/インプット学習法

イマージョンラーニングは効果ない?|出ていないのか、見えていないのか

三橋竜彰・

英語の動画を見る習慣がついて数か月。続いてはいるけれど、始めた頃と比べて何が変わったのかが言えない。そういうときに「イマージョンラーニングは効果ないのでは」という疑いが出てきます。

この記事で最初にお伝えしたいのは、その疑いを2つに分けてほしいということです。

運営者は、YouTube動画で表示された英文を保存するChrome拡張機能「ImmerNote」を開発していて、自分自身も英語を学びながら使っています。開発の過程で何度も突き当たったのが、後者のほうでした。浴びた英語は流れて消えるので、後から見比べるものが残りません。

読み終わる頃には、自分の場合がどちらなのかを切り分けられるようになります。効果の出方そのものではなく、効果の確かめ方の話です。イマージョンラーニング自体の進め方はイマージョンラーニングの実践ガイドにまとめています。

「効果ない」には、条件の違う2つの話が混ざっている

検索して出てくる「イマージョンは効果ない」という話には、前提の違うものが2種類あります。

学校のイマージョン教育大人の独学イマージョン
対象子ども大人
期間年単位数週間から数か月で見直す
1日の量授業と生活の全体30分前後のことが多い
目的教科の学習と言語の習得を同時に英語のインプットを増やす
条件がここまで違う2つは、同じ言葉で語られていても中身が別のものになります。

学校の制度について語られている話を自分の独学に当てはめると、判断を誤ります。逆もそうで、独学で数週間やってみた実感から制度の是非は言えません。この記事が扱うのは下の列、大人が自分でやるほうだけです。

大人の独学で変わる3つのうち、2つは自分では気づけない

インプットを続けたときに変わるものは、性質の違う3つに分かれます。

このうち上の2つは、変化した瞬間が自分では分かりません。以前の自分の聞こえ方を録音しておくことができないからです。3か月前に同じ動画を聞いたときどう聞こえていたかは、記憶の中にしか残っていません。

効果が出ていないのではなく、変化の3分の2はもともと見えない場所で起きます。

気づける可能性があるのは3つ目だけです。ただしそれも、そのとき出会った英文が残っていればという条件が付きます。

聞くこと自体で何が育ち、何が育たないのかは聞き流しで育つもの・育たないもので切り分けています。

「効果ない」と判断する前に、何と比べたのかを確かめる

効果があると言うためには、比べる相手が要ります。イマージョンで手元に残りやすいのは、視聴時間や継続日数です。

しかしこれは、投入した量であって成果ではありません。30時間見たという記録は、30時間ぶん分かるようになったことを意味しません。

成果の側を確かめる方法は、実はひとつしかありません。同じ英文を後からもう一度見て、前より分かるかどうかです。

注意

浴びるだけの形だと、その「同じ英文」が1つも残りません。効果を測る材料を捨てながら、効果の有無を判断している——これが、手応えが出ないと感じるときにいちばん多い状態です。

それでも効果が出ていないときに疑う2つ

材料を残したうえで変化が見えないなら、取り組み方のほうを見ます。疑う場所は2つです。

① 素材が、理解できる範囲の外にある

意味がほとんど取れない英語を浴びても、そこから拾えるものは多くありません。少しだけ難しい、理解できるインプットに触れることで習得が進むという考え方が提唱されています。詳しくは理解可能なインプット(i+1)の考え方で扱っています。

この考え方を提唱したクラッシェン自身も、証明された事実としては書いていません。その辺りの温度感はクラッシェンが5つの仮説で言っていることに整理しました。仮説として扱いつつ、素材が難しすぎないかだけは確かめておく、という距離の取り方が現実的です。

② 浴びた後に、一度も戻っていない

分からなかった箇所をそのまま通り過ぎると、次に同じ表現が出てきても同じように分かりません。時間を増やしても、この形は変わりません。1日30分を1時間にしても、戻っていないことは同じだからです。

量ではなく、分からなかった箇所に一手を加えているかが分かれ目になります。

効果を確かめるための、いちばん小さい記録

運営者がやっているのは、凝った記録ではありません。分からなかった英文をその場に残しておく、それだけです。

ImmerNoteでは、動画を止めずに画面表示中の英文をワンクリック(またはAlt+S)で保存できます。保存した英文には理解度を4段階(わからない/なんとなくわかる/わかる/完璧)で色を付けられ、拡張機能のアイコンを押すと総保存件数と、理解度ごとの件数が出ます。保存数の制限はなく、無料で使えます。保存したものは端末の中に残ります。

ここで効果の話に戻ります。以前わからないで保存した英文を後から見て、いまはわかるに動くかどうか。これが、こちらの手元に残る唯一の変化の記録です。動いていれば効果は出ています。動いていなければ、上の2つのどちらかを見直す番です。

保存した英文は、翻訳や文法の解説を求めるプロンプトに整形してコピーできるので、ChatGPTやGemini、Claudeなどに貼り付けて確かめられます(解析を行うのは、あなたが使うAIです)。

字幕の条件は正直にお伝えしておきます。手動字幕の動画は字幕を表示していなくても保存でき、自動生成字幕の動画は字幕を画面に表示した状態で保存してください。英語字幕(CC)が全く無い動画は現状は対象外です。

なお、続かないことと効果が出ないことは別の問題です。そもそも手が止まりがちな段階の立て直しは独学が続かないときの立て直し方で扱っています。あちらは続ける仕組みの話、この記事は続けた結果を確かめる話です。

よくある質問

イマージョンラーニングは本当に効果ないのですか?

効果が出ていない場合と、効果が見えていない場合を分けて考えてください。インプットを続けて変わるものは、音への慣れ、語順の予測、分かる表現が増えることの3つですが、上の2つは変化した瞬間が自分では分かりません。以前の自分の聞こえ方は記録に残っていないためです。見えないことと起きていないことは別なので、まず確かめる材料が手元にあるかを見てください。

どのくらい続ければ効果を感じられますか?

個人差が大きく、期間を断定することはできません。期間で判断するより、同じ英文を後から見て前より分かるかどうかで確かめるほうが確実です。視聴時間や継続日数は投入した量であって成果ではないため、時間が積み上がっても手応えの根拠にはなりません。分からなかった英文を残しておくと、その比較ができるようになります。

毎日聞いているのに聞き取れるようになりません。

疑う場所は2つあります。1つは素材が理解できる範囲の外にあること、もう1つは分からなかった箇所に一度も戻っていないことです。後者の場合、1日30分を1時間に増やしても状態は変わりません。通り過ぎた箇所は次に出てきても同じように分からないためです。量ではなく、分からなかった箇所に一手を加えているかが分かれ目になります。

学校のイマージョン教育が効果ないという話は、独学にも当てはまりますか?

前提が違うため、そのままは当てはまりません。学校のイマージョン教育は子どもを対象に年単位で、授業と生活の全体を使って教科の学習と言語の習得を同時に進めるものです。大人の独学は1日30分前後で、英語のインプットを増やすことが目的になります。対象も期間も量も目的も違うので、同じ言葉でも中身は別のものとして読んでください。

効果を確かめるために、何を記録すればいいですか?

視聴時間ではなく、分からなかった英文そのものを残してください。成果を確かめる方法は、同じ英文を後からもう一度見て前より分かるかを見ることだけです。理解度を段階で付けておくと、以前わからないだった英文がわかるに動いたかどうかが見えます。ImmerNoteでは動画を止めずに英文を保存でき、理解度は4段階で色分けできます。保存数に制限はありません。

まとめ

浴びた英語は、残さなければ比べる相手になりません。効果を疑う前に、確かめるための材料が手元にあるかを見てみてください。